動脈硬化が進んでくると、血液検査のコレステロールの値が気になりますよね。
コレステロールと言うと、善玉(HDL)と悪玉(LDL)の値と中性脂肪(TG)の値で導き出されています。
単純に、善玉と悪玉を足した数値が総コレステロールではありません。
さらに詳しく言うと、ここに「VLDLコレステロール」と言う別のコレステロールが関わっています。
この「VLDLコレステロール」は、悪玉コレステロールを作り出す元凶なんですね。
では、この「VLDLコレステロール」の値はどうやって調べたらよいのでしょうか?
総コレステロール計算式
総コレステロールを導き出す計算式があります。
総コレステロール = 善玉(HDL)+悪玉(LDL)+(中性脂肪TG÷5)
私の以前の検査結果の場合、
総合177.2=善玉45.8+悪玉74+(中性脂肪287÷5=57.4)となります。
血液検査から善玉と悪玉と中性脂肪の値が分かれば、総コレステロールの数値が分かりますね。
ここで、疑問に思うのが、中性脂肪を5で割った数値(中性脂肪÷5)です。
この値こそが【VLDLコレステロール】なのです。
VLDLコレステロール = 中性脂肪 ÷ 5
検査結果は毎回変わりますが、私の場合、上記の検査では 57.4 が「VLDLコレステロール」の値となります。
ここで、VLDLコレステロールの値は、何で中性脂肪を5で割るの?という疑問が起こります。
何で中性脂肪を5で割るの?
VLDL値は中性脂肪値のおおよそ20%であることが分かっています。これは経験値から導き出された数値です。
VLDLコレステロールは、血液検査では分からなので、計算式から導きます。
中性脂肪の20%、つまり5分の1(5で割った数値)がVLDL値になると言うわけです。
ただし、中性脂肪が400を超えるような方にはこの式(F式)は当てはまりません。
また、糖尿病などの方は、LDL(悪玉)が高くなくても、中性脂肪(TG)が高くなる傾向にあるので、今後、中性脂肪からHDL(善玉)を引いたNon-HDL-Cを重視すべきだと言う見解があります。
コレステロールはどうやって血液を流れるの?
コレステロールは、中性脂肪といっしょに血液中を流れています。
コレステロールや中性脂肪は脂質ですから、それだけでは水分である血液には溶け込めず、単独では血液中を移動することはできません。
そこで、血液に馴染めるよう特殊なたんぱく質と結合し、粒状の物質になって血液と共に血管の中を流れていきます。
この粒状の物質はカイロミクロン、VLDL、IDL、悪玉(LDL)、善玉(HDL)の5種類に大別されています。
- カイロミクロン
- VLDL
- IDL
- LDL(悪玉)
- HDL(善玉)
よく耳にするのは、悪玉(LDL)と善玉(HDL)だけですよね。
では、なぜ【VLDL】が悪いコレステロールなのでしょうか?
【VLDL】とは
VLDLはどこで作られるのでしょうか。それは肝臓です。
VLDLは肝臓で作られる
人は、飲み過ぎや食べ過ぎ、運動不足により、エネルギーが消費されないと太りますよね。
エネルギーが消費されないと、肝臓は、余ったエネルギーを中性脂肪に変えて体中の脂肪細胞に蓄えようとします。
この時作られるのが「VLDL」なのです。
この「VLDL」が悪玉とどのような関係があるのでしょうか?
「VLDL」が悪玉に変化する
「VLDL」は血液中を流れて、脂肪細胞に中性脂肪を届けたり、途中、中性脂肪を分解されたりします。
この過程で「VLDL」の中性脂肪はどんどん減っていきます。
すると「VLDL」は「IDL」へと変化します。「IDL」は上記にあげた粒状の物質の1つですね。
そして、IDLが肝性トリグリセリドリパーゼ(HTGL)によって分解されるとLDL(悪玉)になるのです。
つまり、VLDLの合成が多くなると LDL(悪玉)が増えてしまうと言うわけです!
悪玉が増えると言うことは、VLDLが多いと言うことなんですね!
測定値か計算値か
病院の検査によっては、測定値と計算値と両方の数値があります。
以前、善玉(HDL)の値は検査で分かりましたが、悪玉(LDL)の値は、計算式で出していました。
最近では、悪玉(LDL)の値も検査で分かるようになり、測定値と計算値と両方が混在していることがあります。
測定値と計算値で誤差がでることもありますが、医師にもよりますが、計算値で見ていることが多いようです。
第3の極悪コレステロールと言われるレムナントコレステロールについてはこちらで詳しく紹介しています。