命を脅かす「脳梗塞」ですが、重い脳梗塞と軽い脳梗塞があります。
血液がよどむと血栓ができやすくなり、その血栓が脳に詰まると脳梗塞を起こしますが、重い脳梗塞になるのは、その血栓が巨大になったとき。
一般的な血栓は、6mm~7mm。ところが巨大血栓はおおよそ3cm。大きな梅干しくらいの大きさですから、これが脳に詰まったら重症になるのは避けられません。
軽度から中程度の脳梗塞は1年の生存率が80%ですが、重度の場合は50%と生存率が低くなってしまいます。
大きな梅干しほどの巨大血栓は、実はできたときはとても柔らかく血管の中で自由な形で移動します。
その巨大血栓が脳に運ばれ血管に詰まると脳に酸素が供給されず、広い範囲で脳の細胞が死んでしまいます。
これが重い脳梗塞です。
巨大血栓は「心臓」で作られる
巨大血栓は、実は心臓で作られます。作られるきっかけは、心房細動。
心房細動とは、4つに分かれる心臓の「心房」が細かく震える(痙攣する)ことです。
日本人で心房細動が起こっている人は、170万人もいるそうです。
心房細動には自覚症状があるのでしょうか?
心房細動の自覚症状
心房細動の自覚症状がない人は全体の38%、動悸、息切れなどの自覚症状がある人は62%だそうです。
では、心房細動は検査で分かるのでしょうか?
心房細動は検査で分かるか
心房細動の発症初期は頻繁に発作が起こるわけではなく、たまにしか起こらないので心電図をとっても正常と判断されることが多く、検査でわからないことが多いと言います。
見逃されてしまう可能性が十分にあるのですね。
この怖い心房細動が起こっているかどうか、家で簡単にわかる方法があります。
それは、脈を測ること。
心房細動を見分ける脈の測り方
一番簡単な方法としては脈を測ることです。
正常な心臓の鼓動は一定のリズムを刻みますが、心房細動が起こっている脈は、早かったり不規則だったり、逆に遅すぎたりします。
通常脈は15秒で測りますが、トットットッと定期的な脈ではなく、トットト トットトトなどリズムが不規則な場合は、心房細動を疑います。
血圧計で測る場合、脈拍が普段70くらいの人があるとき測ったら120~130と高い数値が出た場合も、心房細動が疑われます。また、脈がエラーや測定不能になることもあります。
心房細動が起こりやすい条件とは
心房細動は、副交感神経が優位な時に発症しやすいと言われています。
副交感神経が優位な時とはリラックスしている時で、夜のくつろぎタイムだったり、散歩中だったり、就寝中などがそれに当たります。
つまり、日中活発に行動している時より、夜リラックスしている時の方が発症しやすいと言うことです。
心房細動が起こりやすい心臓とは
心房細動の患者さんの心臓を見ると、心臓の周りに脂肪が多く付着しているのが分かります。
心臓脂肪が多い人ほど心房細動が起きやすいと言うことです。
また、心房細動が起きやすい人の特徴は
- 高血圧
- お酒をよく飲む
- 肥満
などがあります。
つまり、メタボの人ほど、危険性が高いと言うことですね。
男性は、ウエスト経が85cm以上、女性は90cm以上がメタボの基準になります。
心房細動が起きていると分かったらもう諦めるしかないのでしょうか?
いいえ、きちんと対処すれば大丈夫です。
医師の診察の基、抗凝固薬などの処方薬をしっかり飲み続けることで、脳梗塞を起こさず元気に天寿を全うすることもできます。
また、1日30分ほどの適度な運動で症状の軽減が期待できるとこが分かっています。
心房細動の手術
最近では、心房細動の「カテーテルアプレーション」と言う手術が行われています。
初期の心房細動なら90%以上が再発しない、つまり根治が得られる治療法です。
心房細動を見つける脈の正しい測り方
測定するときは、安静時に行います。
手首を曲げるとシワがよるあたりに、薬指と中指、人差し指を置きます。
指を立てて少し強めに押さえます。
脈を測った結果
- 脈が不規則
の場合、心房細動を疑います。
脈を取る時間は、朝起きてすぐや夜寝る前が良いそうです。
心筋症の女性の場合
心臓の働きが悪くなると、血栓ができやすくなります。
これは、動脈硬化など血管の問題の他、心臓の機能低下でも起こります。
知り合いの女性は、拡張型心筋症を患っており、心臓の機能が低下していました。
拡張型心筋症の知り合いは、血液が固まるのを防ぐ抗凝固薬を服用し血栓を防いでいましたが、心臓の状態が良くないため、とうとう血栓が脳に飛んで亡くなってしまいました。
心疾患で怖いのは、心臓そのものもそうですが、とにかく血栓です。
弱い鼓動の心臓の中で作られてしまう血栓が脳に飛ぶのが怖いのです。
拡張型心筋症のような難病の心疾患による血栓は防ぐことが難しいこともありますが、生活習慣病からくる動脈硬化による血栓は、予防することが可能です。
(※現在は、iSP細胞の進歩により、心筋に細胞シートを貼ることでダメになってしまった心筋を蘇らせるまであと1歩のところまで来ています。)
普段から、血管プラークを作らない、作らせない生活こそ一番の予防になると思います。